どこよりもわかりづらい、KTMの2ストEFI解説

どこよりもわかりづらい、KTMの2ストEFI解説

176119_KTM 250 EXC TPI EU top MY 2018 studio

昨日発表、Enduro.J内部がドタバタしていて、情報は集めていたにもかかわらず速報のタイミングを見失いました…。というわけで、Enduro.Jでは時間をおいた分じっくり腰を据えて扱ってみたいと思います。

250EXC TPIとは何か

KTM 250 EXC TPI MY 2018_01

先々月の時点で、すでに名称まで発表「TPI」の称号が付与されていた同モデル。TPIは「トランスファー・ポート・インジェクション」の頭文字をとったもので、トランスファー・ポートは日本語に直すと掃気ポートです。

null
日新オート販売より引用

TPIでは、キャブレターの代わりにEFIというよりは、キャブレターの役割が分割されて配置されています。いわばメインジェットやスロージェットにあたるものが、インジェクターで、シリンダー脇にささる形で搭載。

176957_KTM EXC TPI Engine MY 2018 studio

シリンダー脇にある部品がインジェクターです。これまでのモトクロッサーなどは、スロットルボディにインジェクターが搭載されていて、キャブと同じ混合気レイアウトをとっていたわけですが、このあたりがTPIの革新的と言えるポイント。いわば、半直噴と言えるモノでしょう。

なお、四輪でCMなどに登場する直噴エンジンは、インジェクターがシリンダー内に燃料を噴射する仕組み。主に燃費効率を狙ったもので、高圧のインジェクターが必要になることから、オートバイには積極採用されていません。四輪も、環境性能を出しづらいことから直噴エンジンから撤退するメーカーも多くなってきているのが現状です。

歴史をさかのぼると、96年に発表されたビモータの500 V-Dueが直噴2ストインジェクションを採用していますが1年でキャブレターに戻しています。

実際に発売されるとシリンダー内直噴インジェクションの技術的問題が表面化して商業的な失敗を招き、ビモータは大きな負債を抱えた。この失敗で1998年には工場はほとんど稼動しない状態に陥り、この時期にマルコーニを含めた多くのスタッフがビモータを去った。
ーhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF

ホンダでも、2ストローク直噴エンジンのパテントを取得しています。

patent

こちらは、排気用掃気用のバルブがついている構造。今回のKTM TPI同様に掃気ポートから燃料を噴射しています。

ちょっと横道にそれましたが、TPIは革新的な2ストロークと言えるでしょう。

90年代トレールを彷彿させるオイル経路

インジェクターを通すことが前提となるFIでは、オイルがミックスされた燃料ではトラブルを引き起こします。混合ガス用のインジェクターが開発できればいいのかもしれませんが、当然コスト高に。KTMが分離給油へと舵を切ったことは、必然です。結果的にオイルをミックスする手間が省けることになるわけですが、エンデュランサーである以上、機構を複雑にすることはあまり評価には値しないはず。

176952_KTM EXC TPI frame MY 2018 studio

オイルは、フュエールタンクの内側にあるオイルタンクへ。注入口はフュエールタンクの前にあり、フレーム内をオイルが通るという、90年代トレールを彷彿させるものとなりました。フレームパイプの中は、もっとも安全で頑丈で、ある意味無駄なスペースだし。タンクから、電子的に制御されてポンプにてスロットルボディに圧送。エンジン内部へ必要な量だけ送られる仕組み。

まだリリースがありませんが、オイルは5タンク分ほどの容量で、おおよそ80:1の混合比率を達成しているとのこと。2ストオイルは、当然回転数や燃焼温度によって必要な混合比が変わります。混合ガソリンは、MAX値をとったもので低回転時にはそこまでの混合比の必要がありません。ジャンキー稲垣はまわさないので、Hirokoのダートプロ1を80:1で使っています。そのあたりの事情を考えると、KTMの分離給油は、かなり安全な域をカバーした制御になっているはずです。

The following two tabs change content below.
ジャンキー稲垣

ジャンキー稲垣

株式会社アニマルハウス代表・編集。Enduro.J主宰。国内外のエンデューロを中心に取材活動をおこなっています。17' KTM 250EXC、グランドワゴニアオーナー。2ストとV8で、ご飯3杯食べれます。メールはこちらへ